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【おとなも自宅学習】◆自分の意見を書いてみよう

みなさん、こんにちは。ボビーです。

「自分の意見を●●●字で書きなさい」

定期テスト、入試問題、就職試験・・・などでお目にかかる設問のひとつがこれ。限られた語数で、自分の考えを文字化するのはちょっとした訓練が必要です。今回は、書くことに慣れ親しんでいる方も、「口で言うのは簡単、でも、文字で書こうとするのはどうも苦手」という方にもお勧めするのが「投稿」です。

2021年3月4日 倉持先生の意見は?

2月25日の朝日新聞記事「総務省接待 7人減給」に対して先生が書かれた「投稿」が掲載されましたのでご紹介いたしましょう。

「総務省接待 7人減給」の見出しを見て、かつて務めた大学の卒業式を思いだした。式後、学科ごとに卒業生へのはなむけの言葉を教員がめいめい話す。私の先輩の教員は毎年決まっていた。「ただ酒は飲むな」。それ以外は一言も言わない。

当時の新聞に、出版社からリベートをもらった高校教員が処分されたという記事が載った。私の大学は卒業生に教職関係が多かったので、それを念頭に、そうしたはなむけの言葉を贈ったのだろう。他の教員も、なるほどと思った。大学教員に対する警告でもあった。その教員が退職した後は、他の教員がはなむけを引き継いだ。

処分された官僚はその主のはなむけの言葉を聞いたことがなかったのだろうか。接待者が利害関係者だと思わなかった、というのは幼稚な言い訳にすぎない。飲食をおごる人には必ず下心がある。

「ただ酒を飲むな」を他の大学でも卒業生へのはなむけにしてほしい。そうすれば日本の政治も少しはきれいになるのではないか。(405字)

さすが、倉持先生。400字にて簡潔かつアップトゥデイト!

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まずは先日、朝日新聞の朝刊に掲載された、みなさんおなじみの倉持三郎先生の投稿を読んでみましょう。

河川氾濫防ぐ 治水百年の計を

九州全域を襲った豪雨災害。停滞する梅雨前線による猛烈な雨は衰えを見せず、中部地方にも被害が拡大している。

小学生のとき、住んでいた茨城県で近くの鬼怒川の堤防が100メートルにわたって決壊するのを目撃した。ゆっくりと堤防がなくなっていく様子は、映画を見ているかのようだった。水が引いた後、学校では児童らが総出で、畑に流れ込んだ小石を拾った。河川氾濫のニュースを見ると、今もその光景を思い出す。

地球温暖化の影響か、日本では毎年のように河川の氾濫による大災害が起きている。たくさんの命が失われ、経済的にも多額の損失である。

江戸時代、幕府は氾濫を繰り返してきた利根川の流れを大規模工事で変え、水害から江戸を守ろうとした。同様に、氾濫を防ぐための治水事業は、今の技術力を駆使すれば相当期待できよう。治水は不要不急の案件ではないのだ。

要は予算だが、米国から買う戦闘機を減らせば費用は捻出できよう。国会で「治水百年」の計を立ててほしい。(410字)

文章の組み立てについて一緒にみていきましょう!

先生が取り上げたテーマは「災害対策」。倉持先生、このテーマを選んだ理由は?

こんにちは、倉持です。

愛国者というわけでもないのですが、日本未来派という詩の雑誌に入っていることもあって、日本の未來について自分なりに心配しているから、というのが理由でしょうか。余命がすくなくなった今、何か書くとしたら、未来のためになることしかないと思うようになってきたこともありますね。

まずはタイトルを見てみましょう。ここから先生が、日本で起きている災害の内容と、それに対する対策を訴えるということが分かります。第1段落では災害の現状について、第2・第3段落ではご自身の体験を踏まえて災害が起こるとどうなるのか、を解説されています。そして第4段落では、江戸の治水工事について説明をされていますね。

昔は、利根川が江戸湾(いまの東京湾)に流れ込んでいたために、江戸の人たちは大雨のたびごとに難儀しました。それで徳川幕府は、現在のように銚子に出るように利根川の流れを変えたのです。おかげで江戸は災害が少なくなりました。

一方、鬼怒川は、昔は小貝川に流れこんでいました。ふたつの川が合流するあたりは毎年のように氾濫しました。そのため取れるはずの米がとれません。

そのため、鬼怒川と小貝川を切り離し、鬼怒川は直接利根川にそそぐようにしました(黄色のライン部分)。それによって水害はかなり減りました。ちなみに、三代にわたって河川工事をした信州出身の伊奈(伊那)代官に感謝して伊那神社が立てられしたんですよ。

 歴史的な成功例も入れることによって、説得力が増しますね。第5段落でタイトルの内容、つまり主張を展開されています。

はい。現在は江戸時代と違って、機械があります。やる気になれば大規模の工事ができます。戦闘機を買う金を削ってでも、大工事をすれば水害は防げるというのが私の主張です。いま、各地で苦しまれている水害も資金と人員を十分かけて治水工事を行えば防げるでしょう。

対策としては雨水を海に流せばよいわけですから。地下貯水池というアイデアもあるでしょう。みなさんのなかから、100年で水害ゼロにする政治家がでてくることを期待しています。

ありがとうございます、倉持先生。約400字のなかで「主張(タイトル)」「現状」「理由」「実例」「主張」という流れができているのが、みなさんお分かりになられたでしょうか。相手に自分の意見を伝えるには、こういった工夫が必要です。みなさんもぜひ、「投稿」にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

ここで、朝日新聞投稿欄「声」の担当者の方の「声」をきいてみましょうね。

朝日新聞「声」について(タイトルをクリックすると記事にジャンプします!)

ちなみに、英語で書くときも同じですぞ。主張(assertion)理由(reason)実例(examination)主張(assertion)の流れは、受験生のみなさんも覚えておいてほしいポイントですな。

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4 コメント

  1. 米沢淳一 2020年7月16日

    話し言葉は悩む暇なく発せられ、聞き手も咀嚼せず聞き流しますが、文字で残るメールや手紙の記述にでは伝えたい事を正確に伝えられるか、受けとる側が誤解しないかなど一言一句悩む事が多い。こちらを読んで正確に伝える術のヒントをもらいました。優れた文章はには日頃意識せず接しているはずですが、このように分かりやすく解説していただけると文章を書くのが楽しくなりそうです。

    • etwasneues 2020年7月17日 — 投稿者

      ありがとうございます。あらたまって文章を書くと、自分の頭のなかを整理している感じもしません?今回はおとなの夏休み企画としまして「われ思う」を募集中です。ぜひ、ご参加ください。どんなことでも構いません。

  2. HAN Ning 2020年8月6日

    Thank you for mentioning how floods can be controlled, that is, to invest in flood controlling instead of buying American warcrafts. Thirty-one countries in the world don’t have army. These countries use resource to develop civil projects that benefit the general public, which set a good example for the countries that have armies and military expenditure. For example, Costa Rica, a small country in Central America, enjoys more investment in science and technology since 1949. It only takes Costa Rica a bit more than 50 years, half a century, to see the favorable results. Costa Rica has been “cited by the United Nations Development Programme (UNDP) as having attained much higher human development than other countries at the same income levels”. “It was identified by the New Economics Foundations as the greenest country in the world in 2009.” And “It plans to be a carbon-neutral country in 2021.” These are only examples how much can be achieved when there is no military expenditure. If Japan takes action as Prof. Kuramochi suggested, the floods can be controlled.

  3. Saburo Kuramochi 2020年8月6日

    Thank you very much for your commnent on my essay. Never have I learned as many as thirty-one countries in the world have no army. Japan has no army according to the Constitution, but the government is spending more and more money for the military, to my regret. It is necessary we individual citizens make every effort to prevent its war efforts.

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