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読書の秋は英詩を読もう②ウォーミング・アップ

こんにちは。ベンツです。

課題の詩に入る前に、きょうは英詩の基本について学びましょう。

フィリップ・ラーキン「草をはんで」のいくつかの点を説明しましょう。この詩は6行からなる5つの(stanza)からできている詩で、1行に音節(syllable)が8つあります。

英詩の韻律法(prosody)について深入りするつもりはありません。それについては将来学ぶこともあるでしょう。でも、各行を注意深く読むと、弱音節(weak syllable)と強音節(strong syllable)が交互に現れていることが分かるでしょう。これは最初の連の1行目。

The éye / can hárd(/)ly píck / them óut

(この目には 見分けることが難しい)

さらに容易に気づくでしょうが、この詩はかなりきちんと(rhyme)を踏んでいます。それぞれの連で、前半3行の行末の語と後半3行の行末の語の音が一致しているのです。

第1連の3行目

Till wind distresses tail and mane;

( mane[meɪn]  たてがみ)

第1連の6行目

And stands anonymous again

(again[ə’ɡeɪn] ふたたび)

こうした特性がこの詩に統一感と形式美を与えています。

ここで用語の復習ですぞ!

●連(stanza)

「連」は詩を構成する基本的な単位。韻律、脚韻、行数などの点で一定の形を持っています。

英詩の場合、4行連(quatrain)がもっとも一般的ですが、今回の詩のような6行連(sextet, sestet)もそれに次いで用いられる形ですな。

●音節(syllable)

音節を厳密に定義することは難しいので「前後と区別される音のまとまり」とでも言いましょうか。

ともあれ、音のまとまりを意識するには、もっとも聞こえやすい音、つまり聞こえ度(sonority)の高い音で、何より母音がそれにあたりますから、音節は通常、母音とその前後の子音で構成されると考えましょう。

母音にはstart【stɑːt】に見られるような長母音も、train【treɪn】に見られるような二重母音(diphthong)も含まれます。二重母音の場合は、どちらかの母音がより聞こえやすくなっているので、ひとつの音節を構成することが多い。

辞書でsyllabication(分綴=ぶんてつ:単語の分け方)がどうなっているかを見るのが分かりやすいわね。たとえばwindowは、音節を示すwin-dowという表示があるわよ。

実はpeopleがpoe-pleとなるように、子音でも/l/, /m/, /n/などは聞こえ度が高いので、音節を形成することがありますぞ。まあ、辞書を見てみること、ですな。

●弱音節と強音節(weak and strong syllables)

英詩を読む場合に基本となる「詩脚(foot)」のことで、footは通例、「1つの強音節」と「1つ、もしくは2つの弱音節」から構成されます。

もっとも一般的なfootは4種類あって、弱強(iambus)、強弱 (trochee)、弱弱強(anapaest)、強弱弱(dactyl)なの。

ジャクジャクキョー…先輩、その呪文みたいなの何なんですか!
名称にこだわる必要はないです。

ただ、「青い十字架」の回のときにも申したように、英語は高低(pitch)ではなく強弱(stress)の繰り返しだということを思い出すのは重要ですね。

よく言われるのは、日本語の五七調や七五調が心地よく響くのに似て、英語の場合は弱強(iambus)が5つ並ぶ(=弱強五歩格 iambic pentameter)と、落ち着きがいいということ、それも思い出してください。弱強五歩格は詩(韻文)に限ったことではなく、しばしば物語(散文)にも見出すことができる、というのもチェスタトンの「青い十字架」で体験したはず。

To , / or nót / to , / that ís / the qúes- (/) tion  (シェイクスピア作『ハムレット』より)

At Grassについて言えば、1行8音節を分析してみると、弱強四歩格(iambic tetrameter)を基本としていることが分かります。

●韻(rhyme)

近代英詩においては脚韻頭韻(alliteration)と比べて圧倒的に多いということも覚えておいてください。

At Grassは各連がそれぞれabcabcと脚韻を踏んでいるんですね、教授。

うーむ、何やら頭の痛くなった学生のみなさん、なんとなく、でよろしいですから、英詩にはことばの「強弱」による「リズム」がある、ということだけを覚えてください。

そしてもう一回、「草をはんで」を聴いてみましょう。次回の講義は18日です。

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テーマの著者 Anders Norén