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『ベンツ教授の英語で読む短編小説1G.K.チェスタトン「青い十字架」』

こんにちは。ベンツです。

今回は、わたしの最初の講義「G.K.チェスタトン」についてご紹介いたしましょう。

20世紀後半のポストモダン文学に影響を与えた、アルゼンチン出身の作家ホルヘ・ルイス・ボルヘス(Jorge Luis Borges, 1899-1986)によって編纂された(自身の代表作と同タイトルの)「バベルの図書館」という文学シリーズ(全30巻)の第1巻目がチェスタトン集でした。その序文で、ボルヘスはこう言っています。

今世紀初頭に書かれたチェスタトンの小説類は、神秘的な要素と幻想的な要素とをあわせもっているが、実際の名声は、なによりもブラウン神父の手柄と呼べるものに依っている。

どんなに不可解な謎でも、神秘的な出来事でも、最後の数行でブラウン神父がわたしたちに論理的秩序の解決を与えてくれる以上、チェスタトンの短編小説はいつまでも読まれつづけるだろう、とホルヘスは続けています。

さて、そのブラウン神父ですが、その推理方法は独特です。犯人の行動や思考に可能なかぎり同化して、犯人の人生理論を発見することから謎を解いていきます。このあたりは、科学的に観察して謎を解いていくホームズのスタイルとは大きく異なります(「花婿失踪事件」や「サセックスの吸血鬼」と読み比べてみてください)。

わたしの講座でとりあげた「青い十字架」は、片田舎の教会から宝物を携えて大都会ロンドンで行われる聖職者の大会にやってきたブラウン神父が、無事職務を果たすことができるかどうか、というお話です。

宝物の噂をききつけ、神父から「青い十字架」を奪おうとする大泥棒フランボー、そのフランボーを追いかけるヨーロッパ一の名探偵ヴァランタン。彼らに対して、ブラウン神父は自らが「犯人」に同化して、事件を未然に防ごうと知恵をふりしぼります。その手腕は読んでのお楽しみ!

最後に、ボルヘスの序文からもうひとつ――

文学は幸福というものの数ある多様な形態のうちの1つである。たぶんいかなる作家も、チェスタトンほど私に多くの幸福な時をあてがってくれはしなかった。

学生のみなさんも、ぜひブラウン神父で幸福な時間を過ごしてみてください!

G.K.チェスタトン「青い十字架」(クリックするとkindleにとびます)

 

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