東京散歩6回目のきょうは、最近新しくなった原宿駅からスタートし、代々木八幡&代々木上原を超え、イスラム教の礼拝堂「東京ジャーミィ」を目指します。賑やかな一面とは一味違った東京を感じる散歩コースですのでお楽しみに!
出来立ての駅を出て、国立代々木競技場を左手に見ながら進みます。
代々木周辺ポイント①代々木公園
代々木公園は、1967年に東京オリンピック選手村跡地に誕生しました。さらにさかのぼるとその周辺、江戸後期は井伊直弼の下屋敷(明治神宮の前身)をはじめとするいくつかの大名の下屋敷でした。
その後、陸軍代々木練兵場となり、戦後は米軍将校家族の居留地として「ワシントンハイツ」と呼ばれる集合住宅が建てられました。そして1964年東京オリンピックの選手村となり、その跡地に公園が作られ、今に至ります。
代々木公園参宮橋門を出て、次はある石碑を目指します。
代々木周辺ポイント②河骨川(こうほねがわ)
現在は暗渠(あんきょ)になっている川です。暗渠とは「ふたのある水路または地下水路」のこと。
戦前から渋谷川支流は、水害対策・宅地化などの理由で川が埋め立てられたり暗渠化が進められてきました。公共下水道の普及が必要となるにあたり、昭和40年代初頭までには支流のほとんどが地表から姿を消してしまいます。Google mapにも載っていないので探すのが大変でしたが、電信柱に案内がありました。
この河骨川、渋谷川(これも現在は暗渠)の支川で、唱歌の「春の小川」のモチーフと言われているのです。「春の小川はさらさら行くよ 岸のすみれやれんげの花に」でおなじみですね。
小田急線の線路沿いには「春の小川」の詩が刻まれた石碑があります。この詩は現在の代々木三丁目に住んでいた国文学者の高野辰之氏によって作詞され、1912年(大正元年)に発表されました。昔この周辺には、小川が流れ花が咲くのどかな景色が広がっていたんですね。
住宅地の合間にも河骨川の名残があって、知らないと気づかず通り過ぎてしまいそうですね。
代々木公園を突っ切って、暗渠となった河骨川の上を歩いてモスクを目指します。代々木八幡駅のあたりに出ました。ここからさらに踏切を渡り、代々木上原駅も通り過ぎると、突然モスクが現れました。
代々木周辺ポイント③東京ジャーミィ(兼トルコ文化センター)
イスラム教徒の方々の礼拝の場で、一般の人にも開放しています。扉の上部にはコーランの一節がカリグラフィーで書いてあるそうです。中には文化紹介の資料や、チャイやドライなつめやしをセルフサービスでいただけるスペースがありました。ハラールマーケット(Halal Market)という、イスラム教徒の方々の生活に関わる商品を扱うお店もあります。海外のスーパーが大好きなので、すごくテンションが上がりました。
礼儀作法がわからず礼拝堂に入るのをためらっていましたが、たまたま他の見学者の方もいたので、靴を脱いで一緒に中へ。
神聖な雰囲気が漂い、ここが代々木上原ということを忘れてしまうような空間でした。
ところでその見学者さんはイスラム教徒というわけではなく、ごく普通の日本人の方。
予想外の内容に驚きましたが、そのご友人はそんなお友達をもって幸せだろうなと思いました。
文化センターということで、別棟にはお皿やランプ、細密画がたくさん飾ってあるスペースがあります。カフェも運営されていました。
1階に降りると、関係者らしき方が見学者に説明をしています。ここで、ふみふみのプチ知識!
1.モスクは救済の場であり、礼拝は人々の生活の一部として溶け込んでいる。スーパーの買い物帰りに行くような感覚だそう。日本だと、お寺などは山奥にあったりしますが、モスクは街中の、人々がいつでも寄れる場所にあります。
2.礼拝堂にはキリスト教の神父のような聖職者はいませんが、イマームと呼ばれる人が集団礼拝の先導・指導に当たります。イマームに資格は不要ですがひとつだけ条件があって、600ページあるコーランをすべて暗記(!)していなければなりません。
イスラム圏についてまだまだ知らないことも多く、あらためて敬虔な信仰の様子と豊かな文化を肌で感じることができました。
これからも、異文化が尊敬しあい共存できる社会が実現していくことを願っています。
本日の散歩メニュー
・スタート:原宿駅
・目的地:東京ジャーミィ(代々木上原駅付近)
・歩数:8,000歩くらい
・時間:ゆっくり歩いて1時間くらい
・代々木周辺ポイント:代々木公園、河骨川、東京ジャーミィ