新学期が始まりましたので、学生のみなさんにはこれから毎学期必要になる技をご紹介します。ベンツ教授シリーズでおなじみのシャーロック・ホームズの記憶術について英語で読んでみましょう。今回の記事はスミソニアンマガジンからの抜粋です。
The Secrets of Sherlock’s Mind Palace
副題にはこうつづきます。
The BBC/Masterpiece sleuth employs a memory technique invented by the ancient Greeks
Mind Palace
マインド・パレス。日本語にすると心の宮殿。どんな宮殿なのかが今回の英文の内容です。
sleuth
「犯罪を調査する人(a person who investigates crimes; a detective)」のこと。つまり探偵、刑事のこと。employはここでは「~を使う(make use of )」の意味。ここで使うのは古代ギリシャに生まれた記憶術(a memory technique)であるMind Palace!(ちなみにMemory Palaceともいいます)
シャーロックの心の宮殿の秘密
BBCテレビ番組/古典名作出身の探偵は古代ギリシャに発明された記憶術を用いる
テレビ番組、ということでここでちょっと説明です。シャーロック・ホームズは今までに様々な俳優によってTV・映画で演じられています。
最近ではイギリス・BBCで放映されたベネディクト・カンバーバッチ主演の『シャーロック』。
ちなみに、こちらはアメリカ・CBSで放映された『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』のシャーロック。
世界でもっとも有名な探偵、ホームズにはいろいろな特技がありますが、そのなかでもずば抜けている技が「記憶術」です。もちろん、上のふたりのホームズたちも同様。
それでは本文からいくつか単語を説明しましょう。
deduction
「演繹法、ディダクション」ホームズを語るときに欠かせないのがこの単語。もとは「差し引くこと」を意味します。さまざまな事実から不要なものを差し引いて推理するのが「ディダクション」ですが、もっと正確にいうとホームズは「アブダクション(abduction, 仮説形成)」という方法を使います。それについてはこちらを参考に。
mnemonic
「記憶術の、ニモニック」mnemonic device で「記憶を助ける工夫」という意味。発音に注意しましょう。【nɪmάnɪk】
Simonides of Ceos
古代ギリシアシモーニデース(B.C.55?-468)はケオス島出身の抒情詩人でした。次の段落では彼がある祝賀会の席から立って偶然外に出た際に、宮殿が崩れ落ちるという事故にあったことから独自の記憶術が生まれたことが説明されています。
the method of loci
「座(場所)の方法」lociはラテン語でplacesの意味。シモーニデースが記憶を呼び起こすために使った方法はのちにこう呼ばれました。次の段落で詳しい説明があります。
the orator Cicero
弁論家のキケロ。キケロ(B.C.106-43)はローマ人の政治家。スピーチを覚えるのに彼も座の方法を使いました。この時代に「書く」ことはお金と時間がかかったのです(To write something down in that era was expensive and time consuming)。しかし、中世に発明された印刷の技術により、人びとは「書く」ことで記憶をとどめていき、いつしか「宮殿」は使われなくなってきました。
“I consider that a man’s brain originally is like a little empty attic, and you have to stock it with such furniture as you choose,”
これはホームズが初登場する小説『緋色の研究』のなかで、ホームズが相棒となるワトソンに言った言葉。ホームズにとってはどんな部屋?
英文はこちらをクリックするとダウンロードできます!個人での勉強用として使ってくださいね。
さあ、英文を読んだあとはTEDで楽しいスピーチを見てみましょう。最初は字幕なしでチャレンジしてください。後半に英文記事の単語がたくさんでてきますよ。字幕は画面内右下にカーソルを合わせると出てくる吹き出しマークをクリックしましょう。言語選択できます。