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grin like a Cheshire cat チェシャネコのように笑う(わけもなくにやにや笑う)
『不思議の国のアリス』に登場する謎のキャラクターのなかでも、「チェシャネコ」は人気者の上位にいるのではないでしょうか。
第六章「豚とコショウ」に登場するチェシャネコは、木の枝にすわってアリスのことをニヤニヤ笑いながら見ています。「いい子っぽいわね」とアリスは思いますが、それでもすごく長い爪と立派な歯並びを見て、うやうやしく扱われるネコなのかもしれないと思い直します。(The Cat only grinned when it saw Alice. It looked good-natured, she thought: still it had very long claws and a great many teeth, so she felt that it ought to be treated with respect.)
「あっちに行けば帽子やが住んでいるし、あっちにいけば三月うさぎが住んでいるよ。好きなほうを訪ねればいい。どっちもイカれてるからね」というチェシャネコに、アリスはどっちにも行きたくないわ、と返すとネコは答えます。
「ここじゃみんなイカれてるんだ、わたしもイカれてりゃ、あんたもイカれてるってわけさ…イカれてなきゃ、あんたはここには来ない。わたしだって嬉しいときは唸って、怒っているときはしっぽを振る。イカれてないイヌとはまったく反対じゃないか」
アリスと話していたチェシャネコは、しっぽとニヤニヤ笑いを残してゆっくりと消えていきます。「まあ、笑顔のないネコはよく見るけれど、ネコのない笑顔って初めて見たわ!なんて変なんでしょう!
(Well! I’ve often seen a cat without a grin,” thought Alice; “but a grin without a cat! It’s the most curious thing I ever saw in my life!)
grin like a Cheshire catという慣用句、作者のキャロルが生まれ育ったイギリス・チェシャー地方では当時よく使われる表現でした。由来は諸説あり、チェシャー地方が顎の形にそっくりだったから、イギリス最古のチーズと言われるチェシャー地方特産のチェシャーチーズがネコの形をしていたから、ある宿屋の看板の絵が吠えるライオンだったはずが、どうみても笑っているネコの顔にしか見えなかったから、などなど。ともかくチェシャネコは『不思議の国のアリス』のなかでも1,2位を争うほど有名なキャラクターとなりました。