きょうは、東京都中央卸売市場のウェブサイトから、市場について調べてみましょう。
そもそも市場ってなんでしょう?
市場のはじまり
東京中央卸売市場「市場の歴史と年表」より
「市場」のはじまりは、「市」と呼ばれる物々交換の場でした。これを制度化したものが、今日の「市場」です。江戸に幕府を開いた徳川家康は、江戸城内で働く多くの人々の食事を用意するため、大坂の佃村から漁師たちを呼び寄せて幕府に魚を納めさせました。一方、漁師たちは獲れた魚の残りを日本橋のたもとで売るようになり、これが魚河岸(魚市場)と呼ばれていたことから、現在の東京都の市場のはじまりとされています。ほぼ同じ頃に青果市場も自然発生的に形成されたと伝えられていて、江戸八辻ヶ原(現在の神田須田町あたり)ではじまった青果市場を基として発展してきました。
現在の東京都中央卸売市場は、都内にある11の施設のことを指します。
豊洲市場(江東区豊洲)/ 食肉市場(港区:唯一、お肉を扱う市場)/ 大田市場(大田区)/ 豊島市場(豊島区)/ 淀橋市場(新宿区)/ 足立市場(足立区)/ 板橋市場(板橋区)/ 世田谷市場(世田谷区)/ 北足立市場(足立区)/ 多摩ニュータウン市場(多摩市)/ 葛西市場(江戸川区)
それぞれの市場の特徴を調べると、日本の歴史が垣間見えてきておもしろいわ。たとえば、豊島市場。11の施設のなかでもいちばん面積が狭いけれど、その歴史は都内最古の市場と伝えられています。
江戸時代、現在の駒込(こまごめ)にあった青果市場を、駒込土物店(つちものだな)といいました。 「土物」とは大根・にんじん・ごぼうなど土のついたままの野菜、つまり根菜類のこと。 駒込の近隣の農民が野菜を担いで江戸へ出る途中、お寺の境内で休むのが毎朝の例となって、付近の住民が新鮮な野菜を買いにきたのが起こり。ここの市が「辻のやっちゃば」と呼ばれたのは、「やっちゃば、やっちゃば」とセリの掛け声が聞こえたことから、とか。
神田、千住の両市場とともに青物三大市場のひとつに数えられ、幕府の御用市場としても栄えたのよ。
駒込の名産は「ナス」。駒込茄子と呼ばれ、江戸の庶民たちにも大人気だったの。人口が急増した江戸では、主食のお米は全国から取り寄せていたんだけれど、新鮮な野菜はなかなか手に入らなかったのね。それで、江戸城内でも、大名たちが国元から農民を呼び寄せて、下屋敷などで野菜を栽培していたそうです。
そしていつの間にか、江戸付近の農村ではナスやダイコン、ゴボウなどの野菜栽培が盛んになって、江戸の台所を支えていました。
ちなみに初夢で有名な「一富士、二鷹、三茄子」って聞いたことあるかしら?これは実は駒込自慢の川柳から生まれたの。1番有名なのが江戸の富士信仰の拠点だった富士神社、2番目は将軍のための鷹が飼われていた鷹匠屋敷、そして3番目が名産の駒込茄子、というわけ。
生産物はそのまま地域の歴史にもつながるのね。ほかの市場についても調べてみましょう!