こんにちは、ベンツです。
今回はドナルド・キーン先生からも、英語と日本語の違いについて紹介していただきましょう。
日本語という国語は、世界のいろいろな国語の中でも相当珍しい特徴があると言わなければなりません。そしてその特徴が一番よく出ているのは、詩歌の面です。
キーン先生によれば、ヨーロッパで一番よく認められている散文と詩歌との区別は、韻を踏むか踏まないかという単純な規則だ、ということだそうです。ヨーロッパ言語だけでなく、中国の詩歌の場合でも必ず韻を踏みますが、日本語の場合、とくに大和言葉の場合、易しすぎる、つまり、語尾としてア、イ、ウ、エ、オの5音しかないため、韻を踏むことが詩歌の本質に近いというようには考えにくくなる、ということでした。
また、韻のほかによく使われるものとして、キーン先生が挙げられているのは ―― 高橋教授の講義でも教わったように「ストレス・アクセント」です。これが日本語にはなく(フランス語も強いていえばない方)、英語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ロシア語、中国語などは、ストレス・アクセントによって、自分の言うことや書くことに一種のリズムを与えるそうです。
これはポーの「大烏(The Raven)」から:
Once upon a midnight dreary,
While I pondered, weak and weary.
ダーッタ、ダーッタ、ダーッタ、ダーッタ、というリズムがあるでしょう、この場合は韻も踏んでいますけれど。日本語にはストレス・アクセントがありませんから、日本語でそれを真似しようと思っても絶対できないのです。
それでは、日本の詩歌と散文の区別はどうやって?
これは、七五調とか五・七・五とか、音節の数で区別しているんですよ。ほかの国の文字に絶対ないとはいえません。でも、どちらかというと珍しいですね。
このあと、キーン先生に日本語のリズムが奇数なのはなぜか?など楽しいお話を聞きたい人はこちらを:
『日本人の質問』(ドナルド・キーン、朝日文庫)
では、みなさん、夏の集中講義に戻ってがんばりましょう!