本年度もよろしくお願いいたします。フクロウ書店では新刊『開けゴマ!読書の世界へ』の発刊記念として、「蔵書票」を作成させていただきました。はっ?蔵書票って何…と?
蔵書票とは
蔵書票(bookplate)とは本の持ち主を表すカードのこと。カードには通常、持ち主の名前とex libris(~の蔵書から)という意味のラテン語が印刷されていて、それを本の表紙の裏側に貼りつけます。こんな感じ↓
またカードには蔵書の持ち主を明らかにするために、自分の好きな言葉や一族のモットー&家紋などを芸術的な図柄のなかに盛り込んでいます。
グーテンベルクの活版印刷発明によって印刷技術が格段に上がった15世紀、ヨーロッパ中で蔵書ブームがやってきます。蔵書票が生まれたのもドイツと言われています。
当時、本のためにイラストや活字を作成していたアーティストたちが本の発行者やコレクターに頼まれて作りました。そのなかには版画で有名なデューラーやホルバインもいたくらいですから、蔵書票の芸術レベルがいかに高いものかが分かります。
イギリス初の蔵書票発注は1520年、トマス・ウルジー(Thomas Wolsey, 1475-1530)によるもので、紋章が入ったシンプルなものでした。
その後フランス(1597年)、イタリア(1622年)、そしてアメリカ(1674年)と蔵書票が広まります。一時期のブームが去ったあとも、19世紀のアールヌーヴォー時代に入るとブームは最高潮となりました。
製作技術も初期の木版画からエングレービング(銅版画)、石版画、シルクスクリーンなど多彩な技術が使われてきました。
ノース伯爵の蔵書票を見てみましょう。中心のドラゴンと王冠、そしてライオンの盾の組み合わせはノース伯爵の家紋のデザイン。それを両脇で支えるドラゴンたちの足下に、ラテン語で一族のモットーであるLa Vertu Est La Seule Noblesse (Virtue is the only nobility, 高潔こそ美徳)が書かれています。このように蔵書票は本の持ち主の名前が書かれていなくとも、誰のものなのかが一目で分かる工夫がされていました。
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ここからはみなさんもきっとご存じの有名人の蔵書票です。