きょうのバイトさんは大阪からやってきてくれました。どんな本を推してくれるかな?
〈大きな物語〉が終焉した1970年の8月の神戸と芦屋を舞台に、〈私≒我々〉から〈私〉への回帰を象徴的に描いた春樹のデビュー作。〈大きな物語〉の希求が挫折した絶望的な状況の中でも、「完璧な絶望が存在しない」状況を生きなければならないというテーマはいまだに私達が背負っているものでしょう。また、その後の彼の小説のモチーフが散見されて、面白いです。
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テーマの著者 Anders Norén
フクロウ書店主 2021年8月25日 — 投稿者
Eno店員、遠い記憶を引き出す本をご紹介いただきありがとうございました。
村上春樹作品、このような短編がお好きなら藤村の千曲川スケッチ集なんかもお気に召すかも、です。
この先何十年もあるであろう時間が刻まれていない主人公とその周辺は、まるで時空が異なる世界のよう。だから全編通して語られる死についても何か見えない靄のよう。年齢を重ねながら読み返すとまた違った感想が出てきそう。
心に残った言葉
だけどね、人並み外れた強さを持った奴なんて誰もいないんだ。みんな同じさ。何かを持ってる奴はいつか失くすんじゃないかとピクついてるし、何も持ってない奴は永遠に何も持てないんじゃないかと心配してる。(by 僕)