本日、暑い中散歩しながらバイトに立候補してくれたのは…こちらです。
人生はこれからも穏やかに続いていくーもしそんな毎日がある日変わったら?もし自分のことも、家族のことも、思い出も忘れたとき、何が「自分」になるのか?
主人公の佐伯は50歳で若年性アルツハイマーと診断されます。一人娘の結婚・出産を間近に控え、仕事も軌道に乗るころでした。忘れていると悟られないよう必死にメモを取ったり、家族に迷惑をかけたくなくて強がったりと、自然体の当事者の視点で、軽やかに丁寧に日常が描かれます。
徐々に病が進行していく佐伯はどのように人生を歩んでいくのか、ぜひ見届けてください。
個人的な話ながら認知症の家族がいるので、読むのは正直つらさもありましたが、むしろ日常のありがたみを感じずにはいられませんでした。
フクロウ書店主 2021年8月28日 — 投稿者
ふみふみ店員、どっきりするような本のご紹介ありがとうございました。
昔は人生50年。今は人生100年、と2倍もの寿命に延びても人間の体はそれほど進化しておらず、だからこそ「若くして」起こる老いの現象。主人公の身に起こることが丁寧にひとつひとつ描かれているのはまるで映画を観ているよう。病状が進行するにつれ、年齢が逆行していくのはフィッツジェラルドの「ベンジャミン・バトン」のようなもの。ラストの描写への感想は読者の年齢や実体験によっても変わるはず。
心に残った言葉
来年の正月も、こうして自分が自分であるままむかえられますようにと。
ふみふみ 2021年8月29日
書店主さん
重めなテーマかつなかなかのボリューム…にもかかわらず読んでいただき、ありがとうございます!
描写が具体的でじわじわ考えさせられますよね。
ベンジャミン・バトン有名ですね。まだ読んだことがなかったので、今度チャレンジしてみたいと思います。
なお作者の荻原さんのデビュー作「オロロ畑でつかまえて」はすごいコメディで、本作と全然違う雰囲気で楽しめます。
じゅん 2021年9月30日
主人公が自分と同じ歳ということもあってホラーでもないのに怖かった。
もし自分が同じ病気になったとしたら、自分自身で、受け入れてくれる特養など探す事ができるであろうか。多分現実を認めず自分からは行動できなくて追い詰められていき、その頃には回りに迷惑を掛けているだろう。
医療が進歩して寿命が伸び続けるのと比例し痴呆も増えています。
一日も早く治療薬が出来る事を願うようになりました。
ふみふみ 2021年10月1日
じゅんさん、手に取っていただいてありがとうございました!
もし自分なら、と考えるととても怖くなりますよね。私もきっとなかなか現実を受け入れられないように思います。
高齢化が進む社会では認知症もひと事ではなく、誰にでも可能性があることなんだと思います。
年々治療薬も進歩していますが研究されている方々には引き続き頑張っていただきたいです…。