千葉市動物公園(ちばしどうぶつこうえん)のオランウータン・フトシを観察(かんさつ)してくれた隊員(たいいん)のみんなからの質問(しつもん)のつづきです。よろしくおねがいします、黒鳥(くろとり)隊長(たいちょう)!
「隊長(たいちょう)、ゴリラとオランウータンとなんでいろがちがうんですか?」
「ことさん、色(いろ)のちがいが気(き)になったんだね。ほまれちゃんがかいたフトシとモンタも、モンタのほうが黒(くろ)っぽくて、フトシのほうが色(いろ)がうすくなっているなあ」
「うん。そうみえてたの」
なぜオランウータンとゴリラの毛(け)の色(いろ)がちがうのか ―― みんな気(き)になるよね。しかし残念(ざんねん)なことに、ヒト以外(いがい)の、サルの仲間(なかま)での研究(けんきゅう)はほとんどないんだ。
サルのなかまも、長(なが)い進化(しんか)の歴史(れきし)のなかでつくられたもので、そのメカニズムもとても複雑(ふくざつ)なため、じつはいまだにわかっていないことが多(おお)い。毛(け)の色(いろ)のひみつもそのひとつ。
それじゃあ、ひとつ問題(もんだい)を出(だ)そう。
AのオランウータンとBのオランウータンは、それぞれちがう生息地(せいそくち)のオランウータンなんだ。どちらが、フトシと同(おな)じ生息地(せいそくち)なのか、わかったかな?
こたえはB。かれらはボルネオオランウータンといって、東南(とうなん)アジアにあるカリマンタン島(とう)(ボルネオ島(とう)ともよばれる)に住(す)んでいるんだよ。上(うえ)の地図(ちず)を見(み)て。どまんなかの大(おお)きな島(しま)がカリマンタン島(とう)だ。
ボルネオオランウータンはフトシと同(おな)じく、濃(こ)い茶色(ちゃいろ)でしょう。それにくらべて、Aはボルネオオランウータンより明(あか)るいオレンジ色(いろ)でしょう。こちらはスマトラにすむ、スマトラオランウータンだ。 地図(ちず)だと、カリマンタン島(とう)のひだりにあるほそ長(なが)い島(しま)がスマトラ島(とう)だ。
じつは、オランウータンはゴリラやチンパンジー、ボノボとちがい、アジアのジャングルにすんでいる唯一(ゆいいつ)の大型類人猿(おおがたるいじんえん)なんだよ。これはぜひおぼえてほしい。
さて、話(はなし)をもどして・・・ゴリラも、モンタやローラのようにニシゴリラに分類(ぶんるい)されるニシローランドゴリラは、からだは黒(くろ)い色(いろ)で、頭部(とうぶ)を中心(ちゅうしん)に茶色(ちゃいろ)の毛(け)がまじっていたでしょう。一方(いっぽう)、ヒガシゴリラに分類(ぶんるい)される、毛(け)が長(なが)くてまっ黒(くろ)のマウンテンゴリラとは違(ちが)いがあるんだな。
そういうわけで、オランウータンとゴリラとのちがいだけでなく、それぞれの種(しゅ)のなかでもいろいろな毛(け)の色(いろ)があるんだ。
みんなも、なぜだろう?と思(おも)ったら、それを研究(けんきゅう)のテーマにするといい。えっ、「研究(けんきゅう)ってなに?」だって?
わからないことをよく考(かんが)え、調(しら)べて、明(あき)らかにすることを研究(けんきゅう)という。かれらの毛(け)の色(いろ)のひみつを解明(かいめい=ときあかすこと、はっきりさせること) できれば、きっとまた新(あら)たな謎(なぞ)をときあかすことができるよ。
隊員(たいいん)のみなさん、動物園(どうぶつえん)でしっかり観察(かんさつ)したら、それぞれの研究(けんきゅう)テーマを見(み)つけてみましょう。報告(ほうこく)まってます!