芸術の秋のお勧めは文学館巡り。今回は神奈川県立近代文学館まで足をのばしてみました。横浜、 元町・中華街駅を降りて、ひたすら港の見える丘公園の中をのぼっていくと・・・
神奈川近代文学館は、その名の通り、近代日本文学を専門とする、国内最大規模の資料館です。みなさんもよくご存じの、夏目漱石、芥川龍之介、川端康成、太宰治、三島由紀夫など、個人作家の展示などが行われるほか、神奈川ゆかりの作家たちの肉筆資料、書籍類なども多数所蔵していることで有名です。
現在は、「山月記」でおなじみの作家・中島敦の作品と生涯を紹介する企画展が開かれています。病弱だった中島敦。女学校の教師という職業と同時に、作家活動も続けましたが、短篇「山月記」と「文字禍」が雑誌に掲載されて、ようやく本格的デビューを果たそうとしたところ、志半ば、33歳の若さで亡くなりました。
ちなみにこの「山月記」、日本の国語の教科書でもっとも取り上げられた題材、第一位です。みなさん、覚えていますか?
唐の時代、秀才とうたわれた李徴は役人の身分を捨てて詩人として名声を得ようとしましたが、うまくいかずに再び役人となったところ、屈辱的な思いをしてそのまま山の中へと消えてしまいました。
ある日、李徴の友人であった 袁傪(えんさん)が旅の途中にその山の中で、あやうく人食い虎に襲われかけます。ところが、その虎は彼を見るなり茂みに隠れ、「あぶないところだった」とつぶやきます。袁傪には馴染みのある、李徴の声だったのです。なぜ李徴の声が虎から聞こえてくるのでしょうか…
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近代文学館で日本文学の世界にどっぷりつかったあとは、元町・山手方面からみなとみらいまで、観光を兼ねて歩いてみましょう。