こんにちは。ジャックです。
きょうは、東京・学士会館で行われたJLPP翻訳コンクールの授賞式にやってまいりました。現代日本文学の優れた翻訳家を発掘・育成するための、文化庁主催によるコンクールです。
今年の課題は、江國 香織の「蛾」(『甘い罠―8つの短篇小説集』2012年、文春文庫)と寺田 寅彦の「銀座アルプス」(昭和8年、中央公論掲載)の翻訳で、英語部門とフランス語部門に分かれて審査されました。
英語部門の審査委員長は、ご存じベンツ教授の盟友、高橋教授。
「教授、今年の課題作品はどんなところがポイントでしょうか」
「寺田寅彦のエッセイは、100年前の銀座の風景や用語など、調べないと分からないものがでてくる難しさ、江國香織の小説は、日本語特有の話者が顕在化しないスタイル、語り手の視点の移動に難しさがあったかと思います」
「翻訳するときに気を付けることってどんなことですか」
「まずテクスト全体を読んで,その世界を自分なりに理解,構築し,浮き彫りにするべき状況,場面がどのようなものであるのかを見定めたうえで訳文を完成させ,さらにその後で,例えば音読によってリズムや話法を含む表現の不協和音を探し当てて推敲を重ねるといった努力が必要ですね」
「入賞された方達の翻訳はいかがでしたか」
「最優秀作は訳文の丁寧さ,正確さとイメージの豊かなふくらみを総合的に判断して決定しましたが、ほかの上位作も,それぞれの個性を発揮した見事な翻訳作品でしたよ。また、翻訳も文学作品である以上,対象テクストと翻訳者の間にも相性が存在することを改めて感じました」
現代の日本文学が世界中で読まれるきっかけができるって素敵です。
教授、審査お疲れさまでした!えへっ♪
寺田寅彦の「銀座アルプス」は無料で読めます(ここをクリック)のでぜひ、みなさんも翻訳にチャレンジしてみてください!