昨日はテレサ先生からもらったお手紙で紹介したファルネーゼ宮殿の現代アート
を紹介しましたが、きょうはこの作品の制作者であるフランス人アーティストJRのアート・プロジェクトについて英語で学んでみましょう。
JRのアートは15歳のとき、自分のサインをパリの町中に描くことから始まりました。あるときは屋根の上に、あるときはビルの壁に、あるときは電車の車両に。17歳になると写真を撮ってそれを貼る方法に代わります。
2005年、パリ郊外で暴動事件が起こりました。北アフリカ出身の3人の若者が警察に追われて、変電所で感電してしまう死傷事件でした。パリの若者たちの怒りは暴動へと発展します。テレビに映る加害者のなかには、JRがポートレートを撮った若者たちもいました。
「彼らは天使ではないが、モンスターでもないんだ」JRはすぐにカメラを持って彼らのポートレートを撮り、大きなポスターにして町中の壁に貼っていきます。
貧困層の住む地域の若者たちに表情を作ってもらって撮った大型ポスターを、裕福な層が住む地域に貼り付けて彼らのことをよく知ってもらおうとしました。その数は、しまいにはパリの市庁舎の壁で展覧会が開かれるほどに増えました。
Could art change the world? (アートは世界を変えられるだろうか?)
JRには自信がありました。必要なのは紙と糊だけ。2007年、JRは友人のマルコと一緒に紛争の絶えないイスラエルとパレスチナの町々に乗り込みます。ふたりはそこで町の人たちのポートレートを撮っていきました。料理人、弁護士、タクシー運転手、…と地元の人たちの協力のもと同じ職業につく双方の国の人たちの写真を並べて壁にはりつけました。
そして町の人たちにこう聞きます「どっちがイスラエル人でどっちがパレスチナ人だかわかるかい?」するとみんな答えに詰まってしまいます。そう、違いがわからないからです。
このときのプロジェクトは “Face 2 Face”と呼ばれ、世界での活動の第一歩となりました。翌年には女性たちが虐げられている地域を中心に、JRは”Women are Heroes”のプロジェクトを始めます。
貧困に悩まされていたり、我が子や家族を殺された女性たちのポートレートをシエラレオネ、リベリア、ケニア、ブラジル、インド、カンボジアのさまざまな地域で、地元の女性たちといっしょに町中に貼り付けていきました。
このつづきはアメリカのオンライントークTEDでご覧ください。JRが私たちに言いたいことは何でしょうか。
Youtube画面右下の吹き出し部分をクリックすると字幕選択がでます(日本語もあります)
JRさんのスピーチはとても分かりやすくまとまっています。時系列で自分の活動を紹介しながら、冒頭の問いである”Could art change the world?”から結論を導き出しています。そしてそれがこのスピーチのテーマ、つまりJRさんの主張です。JRさんの活動から見えてくるアートの力とはどんなものでしょうか。余力のある人は、このビデオを推すPOPを考えて送ってくださいね。