東京は雪。それも大雪注意報。早めの帰宅をしたら
今回の推し本を摑んで読書タイム!
本書は副題のToo early for an Autobiographyにもあるように、藤倉さんは今年の4月で44歳、自分の人生を語るにはまだまだ早いけれどね、と前置きしつつ、現代音楽というジャンルで作曲家として世界を舞台に活躍するまでの半生を語り尽くしている本です。
「自分では気づかないが、僕は早口でしゃべるらしいし、エネルギッシュらしいし、僕といっしょにいるとエネルギーが吸い取られそうになるらしい…」本書での本人評ですが、藤倉さんの書く文章もまさにその通り。現在から高校時代に戻ったかと思えば、大学院時代の話になったり――でも時空を飛び回るのには訳があります。すべて出来事や人びとが今の藤倉さんの音楽に結びついていることだから。そう考えたとたん、藤倉さんの音楽半生が直線的ではなく、立体的な球を描くように目の前に現れてきます。(この表紙がちょっとそんな感じ)
ちなみにオーケストラ奏者を、グループに分けて通常とは異なる配置にして「楽器をちりばめて」演奏することを、現代音楽では「空間配置」と呼ぶそうです。その空間配置に凝っていた藤倉さん。本書も空間配置本と名付けてみましょう。
お勧めの言葉
人間の耳は本当に素晴らしい……大きなお風呂場で話す音か、飛行機のトイレでのひとりごとの音か、聞いた瞬間にわかる。
「耳だけを頼りに。忘れないでね、耳は頭より賢いことを」
これは博士課程で指導してくれたジョージ:・ベンジャミン先生の言葉だ。この時の話は、また後ほど。
2020年、新国立劇場で上演された藤倉さんのオペラ作品「アルマゲドンの夢」はデジタルシアターで今月2月28日まで配信中!
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/a-dream-of-armageddon-stream22/index.html