いよいよ本格的な秋にはいりました。ネコ名言集カレンダーはもうお持ちでしょうか。まだの方はこちらからダウンロードを。
10月の名言はこちら。悲劇の恋愛劇『ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)』からです。
TYBALT “What do you want from me?”
MERCUTIO “Good King of Cats, nothing but one of your nine lives.”
ティバルト「おれから何がほしいのだ」
マキューシオ「ネコ王め!おまえは命を九つ持っているはずだ。だからおれはそのひとつをいただこうというのさ」
『ロミオとジュリエット』は英劇作家ウィリアム・シェイクスピアによる戯曲。上演されたのは1595年頃と言われています。
シェイクスピアの作品の多くは、西欧の民間伝承やギリシアの古典物語が下書きになっていますが、この作品も同様です。敵対するふたつのグループに挟まれて悲しい結末へ至る恋人達という、普遍性のあるドラマ的構図は『ロミオとジュリエット』以前にも、さまざまな物語のなかに取り入れられてきました。
舞台は14世紀のイタリアの都市ヴェローナ。代々続く名家のモンタギュー家とキャピュレット家は敵同士でした。
モンタギュー家の一人息子ロミオは、ある日友人達と気晴らしにキャピュレット家のパーティーに忍び込みます。そこでロミオは、キャピュレット家の一人娘ジュリエットに出会い、たちまち二人は恋におちます。そして修道僧ロレンスの元で秘かに結婚、ロレンスは二人の結婚が、両家の争いに終止符を打つきっかけになることを期待します。
さて、セリフの場面は第三幕第一場、ロミオと友人のマキューシオが敵対するキャピュレット家の若者たちに広場で絡まれているところです。密かにジュリエットと結婚したロミオは、ジュリエットの従弟にあたるティボルトと面倒を起こしたくありません。
そこで友人のマキューシオがロミオの代わりに喧嘩の相手になります。マキューシオはなぜティボルトのことを「ネコ王」と呼んだのでしょうか。
実は、中世の民話にレイナードという名のキツネが主人公の「キツネ物語」という昔話がありました。イソップのように、ライオンは王様、オオカミは騎士、ロバは僧侶、など擬人化された動物たちが登場するのですが、そのなかのキャラクターでネコの王様の名前がティボルトだったのです。マキューシオはそこからふざけてティボルトのことを「ネコ王」と呼びつけた次第です。
また、古くからあるイギリスのことわざ「ネコに九生あり(Cat has nine lives.)」にひっかけて、「おまえが持ってる9つの命から1つもらおうじゃないか」とからかい、短気なティボルトに火をつけたんですね。
ところが争いの末にマキューシオはティボルトに殺されてしまいます。親友が亡くなり逆上したロミオはすぐにかたきを討ち、ティボルトも亡くなる、という最悪の結果になりました。
ヴェローナ大公の裁きにより、ロミオは追放の罪となります。一方ジュリエットは、大公の親戚と結婚する事を命じられます。ふたりの運命はいかに・・・。
さて『ロミオとジュリエット』を下敷きにしたミュージカル映画で有名なのは『ウェスト・サイド・ストーリー』。
舞台はヴェローナからNYへ。ふたつの敵対するグループのあいだで「ロミオ」と「ジュリエット」の恋はどうなるのでしょうか。
命はいつだって1つ。9つもないから大事に。