たくさんのお国言葉訳がでてきました。今回からは、みなさんが訳してくださった英文を聴きながらみていきましょう。
Who am I? Can you guess? You can never see, touch, or hear me, but I am always with you. I am flowing not only around you but also inside you. You cannot grow without me.
You can feel me when things change ― when cherry blossoms bloom and the wind scatters them, or when you get hungry. I have many faces, and you give them various names. Spring is one of them.
Now you can guess correctly, can’t you? Yes, I am time.
主役の”I”は、「わたし」のほかにいろいろなお国言葉の呼び方がありました。
Who am I?
「あたいはだいな?(鹿児島弁)」
「おりゃぁ、だれならえ。(熊野弁)」
「わいがだれかわかるかの?(広島弁)」
「おれがだれだかわかっか。(茨城弁)」
ほかにも日常みなさんがよく使うものに「われ」「わたくし」「ぼく」「うち」などさまざまな言い方があります。これを「一人称」と呼びます。
一人称は自分自身を指すことば。日本語では地域や年代、使われる場面でそれぞれ違う「わたし」があるのに対して、英語では”I”だけ。ちなみに「わたしたち(複数の一人称)」も、日本語ではいろいろあるのに対して、英語では”we”だけ。
そう。だから英文を日本文に訳すときは、どんな場面で”I”が使われているのか、”you”とはどんな関係なのか、自分のなかで場面を思い浮かべることが必要になります。場面の設定ができれば、口調(文体)もきまってきます。
この英文エッセーは、なぞに当たる主役の「わたし」が、なぞを解く「あなた」にヒントを与えている形でお話が進みますから、おかあさんがこどもに話しているような口調(京都弁の回をみてみましょう)なんかがうまくいきそうですね。
You can never see, touch, or hear me, but I am always with you.
「あなたにはわたしが見えないし、触れないし、聞こえない。でもわたしはいつもあなたのまわりにいます」
この「あなた」は「わたし」の言うことを聞いたり、「わたし」の書いたことを読んだりする相手のことで、「二人称」と言います。「あなた」にあたる日本語も同様たくさんあります。けれども英語では”you”だけ。おまけに”you”には、ひとりだけの意味の”you”もあれば、複数の意味の”you”もあります。
<まとめ>
一人称とは
自分自身を指すことば。英語では”I”。(「わたしたち」と複数を指すときは”we”)
二人称とは
聞き手や読み手などを指すことば。英語では”you”。(「あなたたち」と複数を指すときも”you”)
翻訳するときの注意点
どんな場面で語られているのかを考えよう。