歴史小説『アステカ帝国の最後』はいかがでしたでしょうか。きょうは、物語の舞台となったアステカ帝国の首都テノチティトランにあるピラミッド型神殿(pyramid-shaped temple)「テンプロ・マヨール(Templo Mayor)」から、600年前のイヌワシ(golden eagle)の彫刻が発見されたニュースをお届けいたしましょう。英文はスミソニアン博物館のマガジンサイトをチェック!
メキシコ国立人類学歴史研究所(INAH)の研究者たちが発掘したこの彫刻は、アステカ帝国時代から現在まで、メキシコでよく使われる「テゾントリ(tezontle)」と呼ばれる赤い火山岩に彫られています。大きさは41.7×27.6 インチ(約100×70センチ)。テンプロ・マヨール神殿から発見された浅浮き彫り(bas-relief)の彫刻作品としては、これまでで最も大きなものだそうです。
テノチティトランはテスココ湖という湖に浮かぶアステカ帝国の首都でした。その中心地に、近隣の部族たちからの貢物である資材や労働力を使って、壮大なテンプロ・マヨールが作られたのです。こういった貢物の取り立てが、物語にもでてきたように、アステカ帝国に対する近隣の部族の反発となっていたのでしょう。
ある研究者曰く、「テンプロ・マヨールはアステカ人にとって物質世界、神話世界、そして精神世界の中心だった(For the Aztecs, the Templo Mayor lay at the heart of the physical, mythical and spiritual universes.)」そう。たしかにアステカ族にとってワシは神聖な生き物。太陽が誕生したときにはすでに存在していた(そのせいで、翼の先が焦げ茶色になっている)と信じられています。
今回発見されたイヌワシ彫刻は、太陽神ウイチロポチトリを祭る神殿の南側で見つかっています。伝説ではこのウイチロポチトリ神が「サボテンにとまったワシがヘビを食べている場所に国を作りなさい」とアステカ人にお告げを与えた、となっています。現在のメキシコ国旗もその伝説をモチーフにしたデザイン。