スパイ小説の名手として知られたジョン・ル・カレが12日、89歳の生涯を閉じました。
ル・カレといえば、MI5、MI6で働いていた異色の作家で、東西冷戦時代を舞台に初老の諜報部員「スマイリー」が活躍する長編3部作が有名。そのうち『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』は映画化され(日本語タイトル『裏切りのサーカス』)、ゲイリー・オールドマンをはじめ、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ、トム・ハーディー、マーク・ストロングなど実力俳優らがル・カレ・ワールドを堪能させてくれました。
米・作家スティーブン・キング(Stephen King)は「この最悪な年は文学界の巨人と人道的精神を奪っていった(”This terrible year has claimed a literary giant and a humanitarian spirit.”)とツィート、ル・カレを「英文学の巨人(”the titan of English literature”)」と呼んだ、イギリスの歴史家・小説家のサイモン・セバーグ・モンテフィオーリ(Simon Sebag Montefiore)は、いま自分は悲嘆に暮れている、と言い、英・政治評論家のロバート・ハリス(Robert Harris)は「偉大な戦後イギリス小説家のひとり(”one of the great post-war British novelists”)」であり「忘れがたい、 特異な存在(”an unforgettable, unique character”)」だった、と偲んでいます。