あけましておめでとうございます。調査隊(ちょうさたい)のみなさん、今年(ことし)もよろしくおねがいします。
きょうは、だれから質問(しつもん)しますか?
「 はい!ゴリラはごはんなにをたべるの?キャベツ?くさ?」
ゴリラのごはんは、おもに草(くさ)だなあ。えっ?あのでかいからだを、はっぱだけでどうやってつくるのかって?
もともと、霊長類(れいちょうるい)の祖先(そせん)は、からだも小(ちい)さくて、夜(よる)のあいだ、嗅覚(きゅうかく=においをつうじて、ものをみわけるはたらき)をたよりに虫(むし)やフルーツをとって食(た)べる生活(せいかつ)をしていた。くらやみなら、敵(てき)にみつかることも少(すく)ないからね。
いまでもそういった性質(せいしつ=うまれつきもっているとくちょう)をうけついでいるのが、アイアイやメガネザル。
かれらはいまでも夜行性(やこうせい=よるにこうどうするせいしつ)で、おもに昆虫(こんちゅう)をたべる生活(せいかつ)をおくっている。かれらを「原猿類(げんえんるい)」という。おぼえておいてね。
一方(いっぽう)、わたしたちがよく「サル」とよんで、なじみのある霊長類(れいちょうるい)は「真猿類(しんえんるい)」という。かれらは原猿類(げんえんるい)にくらべると、体重(たいじゅう)が重(おも)くて、おもに昼間(ひるま)に行動(こうどう)をする。そして、いろいろなものを食(た)べる「雑食(ざっしょく)」だ。
上(うえ)の写真(しゃしん)は、くだものが少(すく)ない山地(さんち)に住(す)むマウンテンゴリラだ。かれらは、ほとんど完全(かんぜん)な植物食(しょくぶつしょく=くさをたべる)で、1年中(ねんじゅう)地面(じめん)にはえているアザミ、セロリ、イラクサの葉(は)や、ずい、木(き)の皮(かわ)やねっこ、タケノコなどを食(た)べている。
はっぱなどについた虫(むし)も口(くち)にはしているけれど、たいした量(りょう)じゃない。くだものがなれば食(た)べるけれど、これも季節(きせつ)によってしか食(た)べられないし、ほかの動物(どうぶつ)たちもくだものは大好物(だいこうぶつ)だから競争(きょうそう)しなきゃならない。
そこで、ゴリラはアイアイたちのような昆虫食(こんちゅうしょく=むしをたべる)ではなく、どこにでもはえている草(くさ)から栄養(えいよう)をとる作戦(さくせん)にかえたんだな。
① ライバルがいなくて
② どこにでも食糧がある
このおかげで、ゴリラはどんどん体(からだ)が大(おお)きくなってきた。
それに、体(からだ)を大(おお)きくするゴリラにとっていいことがもうひとつある。それは、はっぱに含(ふく)まれている毒物(どくぶつ)を薄(うす)める効果(こうか)がある、ってこと。
そのいい例(れい)がゾウだね。
でも、ゴリラやチンパンジーなど、ヒトに近(ちか)い類人猿(るいじんえん)は、サルほど強(つよ)い消化器(しょうかき=いぶくろやちょうのこと)を発達(はったつ)させなかった。
だから、毒性(どくせい)の少(すく)ない熟(じゅく)したくだものや、毒(どく)の蓄積(ちくせき=たまっていくこと)を防(ふせ)ぐために、いろいろな種類(しゅるい)の葉(は)をすこしずつ食(た)べるようになったんだ。
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さて、モンタの顔(かお)、どことなくヒトに似(に)ていなかった?
それぞれ形(かたち)はヒトのものと多少(たしょう)ちがっていても、目鼻(めはな)の形(かたち)や場所(ばしょ)が似(に)ていることにきづいたかな。
鼻(はな)がウマみたいに長(なが)くないし、目(め)も顔(かお)の前方(ぜんぽう)にあるでしょう。これはものを立体的(りったいてき)にみるためなんだ。
なんでかっていうと、真猿類(しんえんるい)は嗅覚(きゅうかく)ではなく、視覚(しかく=みることによって、ものをみわけるはたらき)を発達(はったつ)させていったから。
昼間(ひるま)、ジャングルのなかで食(た)べものを見(み)つけるには、目(め)がよくないとむずかしいだろう?おまけに 色彩(しきさい)を認知(にんち)することも必要(ひつよう)になったんだ。 くだものの色(いろ)をみわけられるようにね。
もうひとつ重要(じゅうよう)なのは、触覚(しょっかく=さわることによって、ものをみわけるはたらき)。モンタやフトシの手(て)を見(み)たかな?親指(おやゆび)とほかの指(ゆび)が向(む)き合(あ)うようになっているでしょう。食(た)べごろの木(き)の実(み)やくだものをじょうずに採(と)ることができるのは、このしくみのおかげ。
ははは!でもね、ゴリラも親指(おやゆび)は中指(なかゆび)までしか向(む)き合(あ)わせることができないんだよ。
小指(こゆび)まで全部(ぜんぶ)の指(ゆび)と親指(おやゆび)を向(む)き合(あ)わせることができるのは、じつはヒトだけなんだなあ。