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夏休み企画・お勧め大会【20】『日の名残り』(1989年)

エントリーナンバー【20】モーリーさん

お勧めはなんでしょう?

1989年にブッカー賞を受賞したカズオ・イシグロの作品『日の名残り』です。あまりにも英国的な情緒あふれる物語がなぜ、日系人によって描かれることができたのかは、当時から今に至るまで、興味深い議論が尽きないところです。猛暑の暑さを忘れるための一冊として、いかがでしょうか。

映画化(1993年)もされた『日の名残り』(The Remains of the Day)の主人公は、物静かで思慮深い印象を与える執事スティーヴンス。

彼が長年仕えた主人亡きあと、売りに出されたお屋敷ダーリントンホールは、スティーヴンスごとアメリカ人富豪の手に移ります。アメリカ人の主人…それだけでも厄介なのに、さらなる深刻な問題が人手不足。スティーヴンスはその昔、一緒に働いていたミス・ケントンを思い出すと、居ても立っても居られなくなります。彼女が復帰してくれれば百人力だ、と。

ミス・ケントンとの思い出は、スティーヴンスを過去の世界へと導きます。彼が執事としてお屋敷をバリバリに切り盛りしていた時代へと。古き良き時代、そしてスティーヴンスの秘密の恋…

モーリーさん、どんなところがグッときましたか?

私は個人的に、ある公人(教育長)の秘書をしていた時期があるので、なおさら、その日陰の身としての目立たぬ活躍と自負に共感してしまいます。黄昏色に乾いた思い出は、心をしんみりとさせてくれます。

うっ…でも、縁の下の力持ちあっての「お屋敷」ですから。

ちなみにこちらもお屋敷もの『ダウントン・アビー』で活躍する執事カーソン。

お嬢様のためなら…

モーリーさん、ありがとうございました。

さあ、祝・ノーベル文学賞作家の原作を先に読んでもよし!アンソニー・ホプキンスに泣かされるのもよし!知られざる執事体験があったらetwasneuesbooks@gmail.comまで。

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1 コメント

  1. Samurai 2019年9月23日

    「日の名残り」はいい映画でした。お勧めできます。
    執事の文化は、我々日本人にはなかなか理解し難い文化ですが。

    ちなみに、「ダウントン・アビー」は全て観ました。妻も大ファンです。

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